これは雅楽に使われる笙(ショウ)の頭(カシラ)です。
笙に蒔絵を施す事は珍しいと思います。
ご依頼は鳳凰蒔絵です。
バックに雲をイメージして太陽が今まさに昇らんとしています、
闇を鳳凰の登場で払拭する図です。
そして、鳳凰は高蒔絵で羽根の一枚一枚を盛り上げますので、とても手間と神経集中を要します。
今回は木炭を粉末状にした物を蒔き土台を作ります。
それを一旦漆で固め、それから表面が平らになるように丁寧に一枚一枚研いでいきます。
そして更に、一枚一枚を地塗りをして金を蒔いていきます・・・・・・。
久しぶりに本格的な高蒔絵を施します。
弟子の頃を思い出します、高蒔絵は描く事は勿論ですが、金を研ぎ破らずに仕上げるのが
熟練の技です。
ふーーーーっ忘れかけていた何かを取り戻した感覚があります。
これは・・・・・・・とても楽しい。
私は蒔絵を愉しんでいるのです。
ご依頼主に感謝です。
さて、続きまして
大好きな鳳凰をもう一度描きます。
鳳凰は天界に住む架空の神の化身、
自由に表現していいのでより美しく、より華麗に進化させていけます。
私は鳳凰が大好きです。
これは菓子器の蓋です。
暗闇の曇天を突き裂く鳳凰。その背後には日がまさに昇らんとしています。
さて、お客様の要望に応えるべく、色漆を練り合わせます。
やはり手で練った漆は滑らかさが違います。
しかし1色練るのに2時間以上ヘラで練るので、手間のかかる作業です。
透き漆と顔料をよく練ってから吉野和紙の柿渋をしみこませて丈夫にした
渋濾し和紙で漉してチリ、埃を取り除きます。
「手すきの吉野紙を漉いている職人さんは現在ではどうなんでしょうか?
10数年前の番組では1件のみが残っているそうですが、現在も続けておられる事を願っています。」
漆と顔料は等分位を目安に練り合わせていきます、
練ながら漆の濃さを調整します。
硬いなと思ったら樟脳をいれて柔らかくするのです。
青漆は何種類作った事か、
ご依頼主はとても綺麗な青を要求していますが、漆は乾くと黒ずんで乾くので、ダークな印象になります。
色んなメーカーの漆を取寄せ・・・・・・、顔料も色んな種類の「青」の顔料を取寄せました。
いざ練り合わせて、乾燥させて(予定通り黒ずんで硬化します)
これを紫外線に当てて、発色をよくします。
この時の色が私のテンションを左右するのです。
試す事10数種類、まあまあの色が出来ました。
しかし、本当にクリアーな青は中々出てくれません。
飽くなき追及は続くのです。
そして、笙
第2弾
今回はより華やかに、より華麗に。がテーマです。
羽のアーム部分にはオパールを入れました、
そして羽の1枚1枚を丁寧に描き割って盛上げます。
結構私好きなんですよね。盛り上げの描き割りが・・・・・。
この色を入れた後からが神経を要するところです。
私自身もどんな仕上がりになるか???
仕上がってみないと分からない・・・・・・。
研ぎ出して、磨き込みましたらシックないい感じになりました。
神田明神のイメージです。
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令和3年7月18日 AM6:19