百貨店で仕事をしているといろんな人に出会います。
といってもうちで足を止める方は、蒔絵好き日本好きがほとんどですが。
 
 私は若い頃は、デパートの実演要員として全国のデパートで実演だけしていた時がありました。
若くてハンサム(自分で言う人は大したことないのです)なお兄ちゃんが作務衣着て実演していると、
お客さんが何だなんだ?と見にいらっしゃいます。、そこを店員さんが説明して買って頂く訳です。
ある時は、「買った商品に貴方の好きな蒔絵を描きますよ」と売り込むんです。
そんな事言われても、描くのは私なんだから店員さん・・・・・・・・。「お兄ちゃんピーターラビット描いてぇ」。「ハイわかりました」と返事をしてから「何だピーターラビットって?」で、本屋に駆け込んで「ピーターラビットの本ありますか?」てな訳ですよ。今となれば、それも修行です。
 それで全国廻っていますと、蒔絵の認識が深い土地とぜんぜん蒔絵を知らない土地があります。
知らないところだと「蒔絵って、クルクルと巻くあれですか?」といいます。
それは絵巻です。蒔絵ですよ蒔絵。まったくもう。
蒔絵・・・・知ってくださいよ。

217e4baace983bd-11 京都はやはり格別、目利きが多いのです。自分の芸術の好みを知っているのです、語れるのです。
今日であった90歳のお茶の先生をされているお婆さんですが、目や姿がリンとしているのです。
話は、お茶からお道具、作法、心得、道理まで話され、私は久しぶりに身の入るお話で聞き入ってしまいました。その中で、大徳寺の中の大泉院??の言葉が印象に残りました。

「心は行動となり 習癖を生む 
   習癖は品性をつくり 品性は運命を決する」
日々の生活に自分自身のリズムを作りなさい、自分自身で決め事を作りコツコツと励むことが、
品性になり、運命まで決まると。・・・・私はあれこれ迷ったりしますと言いましたら、
それは欲が多いからです。道理を見つめなさいとの事。

 そこでまた1つおっしゃってました。
「無財でも 7つの施しができる」
財産がない人は、笑顔だとか、席を譲る、優しく接する、など施しができるそうです。
財産があると、守りに入ってしまいますね。・・・ないけど。
 そのお婆さんは人生の総仕上げだと思いますが、やり抜いた清さ、自身、満足が感じられ
人としてのお手本を見るようでした。

 どこでも人の出会い、人の優しさに触れられて私は幸せだと思います。感謝。

by祥幹

PS:話の最後にそのお婆さんの出身は福井県鯖江市河和田町でした、私と同郷です。
  異国の地でやり抜くには相当の苦労があったことと思います。
名前はお互い名乗りませんでした。
これぞ一期一会で心に残るのです。

2009年8月3日